アイコンとして稀有な存在・Perfumeを応援する日々の記録
cheer for perfume
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ありがちな未来
2010-08-30-Mon  CATEGORY: perfume
授業終了のブザーが鳴るやモニターを閉じて教室を飛び出す。

部活も友達との約束も、ちょっと気になるゆるゆるパーマのあの子とのお喋りの
時間も今日は我慢。さっさと家に帰らなければならないのだ。


今日は久々にオヤジが単身赴任先から帰って来る日。


、というのは口実で、本当はオヤジが買ってきてくれる最新のテレビがお目当て。

普段はそういうのに何の興味も示さないオヤジ、僕がどんなに欲しがっても
いつもそれがどれだけ欲しいかを尋問してはうまく説明できないことを口実
にして買ってくれない。

ま、内緒で母さんにそれとなく買ってくれるように言ってくれているのは知って
いるけれど。

そんなオヤジが何故か今回は自分からそれが欲しいと言ってきた。いつになく
熱のこもった口調で母さんを口説き落とし、様々な交換条件を受諾してまで欲
しがった。
僕にしてみれば願ったり叶ったり。そのテレビは見た目は直角二等辺三角形の
ただの板に見えるけれどスイッチを点けると映像が完璧な立体に映し出される
画期的なもので、その映像を観るのに煩わしいメガネをかける必要もないし、
解像度は恐ろしく高く、テレビに映る人達のメイク法すら一変させてしまう程の
再現性。

その夢のテレビはオヤジが帰ってくるよりも一足お先に家に届くとさっきメール
が届いていた。

僕はそれで最近ハマりにハマっている全国各都道府県から一人ずつ代表を集めて
結成された「JPN47」のコンサートを観たかった。

オヤジが若かった頃に起こった地域創造型のアイドル育成フォーマットが世界に
広がり、いつの間にか各国代表のような肩書を持ったアイドル達が誕生した結果
生まれた日本代表のアイドルグループ「JPN47」

僕はご当地神奈川県代表の「カオリン」こと三隅香の大ファンだった。

今日はそんなJPN47も出演するWORLD IDOL EXPO2030の開演日。世界が
争奪戦を繰り広げるチケットなど手に入る訳もなかったがこのテレビがあれば
立体で歌い、踊るカオリンが観られる。同じ目線でコンサートが楽しめる。

期待に胸を膨らませて家に帰りつくと、あれ?オヤジの車がある…。

なんだ、もう帰ってたのか…。

さてさてどうやってオヤジを口説き落としてカオリンのコンサートを観ようか。

逡巡しつつドアを開けると中から聴きなれない音楽が聞こえてくる。

なんて表現したらいいんだろう。すごく軽快で弾むようなリズムなんだけど、流れる
音の一つ一つに意味が込められていそうな、一回聴いたくらいでは曲の全容が掴め
ない複雑な曲。それでいて次にどんな音が繋がってくるのかにワクワクを覚えてしま
いそうなめくるめく音の洪水。聴いた瞬間に耳から体に突き抜けていくみたい。

オヤジがかけてるのかな。

リビングのドア越しに中を覗くとあのテレビがセットアップされている。

部屋に据えられたテレビが映し出しているのは3人の女の子だ。

一人はミディアムロングの柔らかな髪がふわふわ揺れる満面の笑みが眩しい女の子、
もう一人は絹糸のように繊細なロングヘア、眉下で切り揃えられた前髪から覗く眼差し
が蠱惑的な女の子、最後の一人はショートボブで前髪をキリッと分けた涼しげでいて
貫くような視線を向けてくる女の子。

複雑に絡み合う音楽を一つ一つ紐解いていくように彼女達は均整のとれた、それでいて
どこかに温かみと可愛らしさを添加したような不思議なダンスを踊っている。

そして最も驚いたのは彼女達の歌。

最初はあまりに音楽と調和しているし、激しいダンスの最中に歌っているなんてわから
なかった。けれど彼女達は歌っている。三人の声が絡み合って一つの声が生まれてくる
ような聴いたこともないような歌。

なんなんだ、これは。

そんなことをぐるぐる頭の中で考えながらも僕はそのビジョンから目を離すことができ
ず、オヤジの後ろ姿と一緒にどうやら東京ドームで行われているらしいそのライブ映像
をまるまる3時間半も眺めることに。

オヤジはずっとニコニコしているようだった。彼女達が自己紹介しながら「※●$%#です!」
と言った時にはその振り真似までしている。音楽に合わせて体を揺らして手を上げたり指を突き
上げたり。MC中はミディアムロングの子のトークに声を上げて笑い、歓声を上げ、拍手をする。

こんなに楽しそうなオヤジ、見たことない。

でも、なんだろう。何となくわかる。

映像の3人、すごく楽しそうな顔してる。それが心から楽しいんだって誰が見てもわかるよう
な笑顔。曲調に合わせて切なそうにしたり、無表情だったり、ロックバンドのヴォーカルみた
いに観客を煽ったり。色んな事をするけれどその空間を楽しみたい、楽しむんだっていう気
持ちが伝わってくる。その気持ちを観てる側にも伝えようってしているのがわかる。



アンコールがかかって最後の曲。



耳の中で反響が広がって行くようなコーラス。会場中に反響が広がって行くみたいに聴こえる。
どうもこれは会場中が一緒にsing-alongしているみたいだ。

…、オヤジ、泣いてるのか。

その時僕の頬にも不意に涙が一筋伝っていた。なんだかわからないけれど、でもとても温かい
ものが胸に息づいているように感じる。オヤジの気持ちが手に取るようにわかる。今この瞬間
が永遠に変わらなければいい。そんなふうに思える。それくらい去り難く、心惹かれる空間。


エンドロールまでを後ろで鑑賞した後、僕はオヤジに声を掛けた。


「父さんお帰り、今日は早かったね。これ、なんて人達?すごいライブだね。」


すると目じりの涙をサッと拭いて少し恥ずかしそうにオヤジは言った。


「なんだ帰ってたのか、お帰り。これ、父さんがずっとずっと好きなグループで
 Perfumeって言うんだ。ずっと後ろで観てたのか。どうだった?」


オヤジは僕の顔から満更でもない感触を受け取ったらしく、一頻りPerfumeという
グループの話をまくし立てた。

それは夕食の後まで続き、最後には母さんに止められるまで続いた。



でもオヤジ、ボクもPerfume、好きになったよ。だからもう一回観ようぜ。



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コメント

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なぜだろう?
コメントtiki-pun | URL | 2010-08-31-Tue 07:14 [編集]
こういう空想の話なのに涙ぐんでしまいます。

続編、もしくは後日談、等々お願いします。
ほんわかしました!
コメントelectrocat | URL | 2010-08-31-Tue 07:23 [編集]
リアルなシチュ、テンポのいいストーリー展開、納得の内容・・・完璧です!
そして、Perfumeについての細かく愛情溢れる描写、いつもの臨場感たっぷりで叙情的なライヴレポを思い出しました(^^)/
akiraさん節炸裂ですね(*^_^*)スバラシイ!

僕はこのような描写をほとんどせず、どんどん展開させちゃいますからね~^^;
とても勉強になります!

20年後ですかぁ・・・伝説となったドーム公演の映像。
考え深いですねぇ。
本当にありそうな光景ですよね~・・・
そして、(うちは娘だからダメですがorz)やはり本当に解り合えるのは、アイドルに興味を持つ年代の息子でしょうね!
だって・・・
>「※●$%#です!」と言った時にはその振り真似までしている。
これはやはり息子と解り合いたい(笑)
あ、ちなみにここで伏字にしているところ芸が細かいです^^

ところで、このオヤジがakiraさんなのなら・・・
>それは夕食の後まで続き、最後には母さんに止められるまで続いた。
のところは、「それは夜を徹して朝まで続き、さらに”宿題”と言いながら山ほどの教材を渡された」くらいがリアルなところでしょうね(^_-)
GJ!
コメントおとわしゅな | URL | 2010-08-31-Tue 08:19 [編集]
朝からちょっとジンときちゃいましたよ(^^;
いつものライブレポのような精細な描写があるからこそ
後半の少ない台詞でぐっときちゃうんでしょうねv
世代を超えたPerfumeの魅力、素晴らしいですね。

このシリーズ期待します(^-^v
初めまして
コメントrunrun | URL | 2010-08-31-Tue 17:57 [編集]
いきなりでスミマセン。素晴しいです!!
・20年後という近未来
・現代のアイドル情勢をわかり易く発展させた設定
・伝説と昇華したドームライブ
・そして今もまだ人々の胸に残るPerfumeというユニットの存在
・受け継がれる伝説
ざっと挙げただけでもこれだけある要素を読みやすく書く技術はさることながら、穏やかながらもPerfumeに対する深い愛を感じさせるところが素晴しいです。
Perfumeのブログを書いている人は、創作が上手い方ばかりで驚かされます。
お邪魔しました^^;
Re: tiki-punさん
コメントakira | URL | 2010-09-01-Wed 02:43 [編集]
コメントありがとうございます♪


> 続編、もしくは後日談、等々お願いします。

こういうのは調子に乗ると大やけどするものだと
思いますので忘れられた頃にまた…。

Re: electrocatさん
コメントakira | URL | 2010-09-01-Wed 02:48 [編集]
コメントありがとうございます♪

お目汚しでお恥ずかしい。明らかにelectrocatさんの
影響なのがバレバレですね(笑

>20年後ですかぁ・・・伝説となったドーム公演の映像。
> 考え深いですねぇ。

想像もつきませんね。ただ、素敵なものであろうことだけ
は2010年夏の時点でも想像できますけど。
ご家庭をお持ちの皆さんが実践されるPerfumeとの付き合い方、
何となくの憧れを織り交ぜてみました。

> ところで、このオヤジがakiraさんなのなら・・・

まぁきっと嫌がられることでしょう。それだけは確信が
持てます(笑
Re: おとわしゅなさん
コメントakira | URL | 2010-09-01-Wed 02:55 [編集]
コメントありがとうございます♪

> 世代を超えたPerfumeの魅力、素晴らしいですね。

きっとあるんじゃないかと思ってます、こんな未来。
繋げていきたいし受け継ぎたいなぁと思います。

> このシリーズ期待します(^-^v

お言葉ありがたく頂戴致します。気が向きましたらまた…笑
Re: runrunさん
コメントakira | URL | 2010-09-01-Wed 02:59 [編集]
初めまして、コメントありがとうございます♪

あるのはPerfumeへの不細工な愛情のみでやらせていただいて
おりますm(_ _)m

> Perfumeのブログを書いている人は、創作が上手い方ばかりで
 驚かされます。

私も同感です。皆さん独特の世界観がありますよね☆

runrunさんのブログ、よく拝見させていただいております。
今後とも宜しくお願い致します。

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